2007.03.14 NAB東京セッションにて「モバイルマルチメディア放送への期待」を講演。講演要旨。
NAB 東京セッションにおける講演要旨 「映像新聞」より
モバイルマルチメディア放送への期待
ISDB-Tマルチメディアフォーラム
幹事長 岡村智之
昨年4月からスタートしたワンセグ対応携帯は、同年12月末時点で340万台が出荷された。PC、DVD内蔵型やUSBチューナーなど、受信機のバリエーションは豊富になっており、さらなる普及が期待できる。
アナログテレビ放送空き周波数の有効利用の方針策定作業が進んでいるが、ISDB-T MMFは、現在の固定テレビとワンセグで使用されているISDB-T方式を発展させたサービスとして「ISDB-Tmm方式」によるモバイルマルチメディア放送を提案している。
ISDB-T方式にはいくつものパラメーターがある。現在は、12と1のセグメントに分けているが、これは13のセグメントを独立して使用することもできる。これは現在、ISDB-Tsbとしてデジタルラジオが使用している。13セグメントすべてを独立して使用し、独自のアプリケーション技術を入れるのが、ISDB-Tmm方式である。
ISDB-Tmmはワンセグと技術が共通化できるので新しいハードは何も必要ない。バックアップコンパチをとることもできる。チューナー、ブラウズソフトの若干の変更、蓄積サービスのためのメモリーの追加で済む。放送事業者、携帯事業者、端末メーカーが最小限の開発ソースで対応できることが最大の特徴になる。
サービスは、リアルタイムのテレビ視聴と、いわゆるサーバー型放送「プッシュキャスト」の組み合わせになる。市場規模については、2000億-5000億円と予測している。
プッシュキャストを中心にこれまでになかったサービスを展開する。携帯サイトと連動した視聴者コンテンツにも適応できる。ISDB-Tはナローキャストが可能という特徴があるので、地域限定のコンテンツ配信も実現できる。
携帯電話会社では、ICカードチップや課金システムを導入しているので、こうした仕組みをミックスすることで、モバイルクーポンやマルチメディア書籍・マガジンなど、多様なサービスが展開できる。さまざまなプレーヤーの参入が可能になると思う。
1ギガのメモリーは現在、量販店で4980円で売られている。アナログ周波数が空く2012年以降の時点では、数ギガの大容量メモリー、あるいはHDDが携帯端末に搭載されるだろう。プッシュキャストにとっては良好なサービス環境になる。
サービスラインナップについては、スポーツ、公営競技、映画、ドラマといった番組編成を基本に、ドキュメンタリー、総合エンターテインメント、さらには趣味、娯楽、グルメなどのコンテンツを提供するイメージ。リアルタイム視聴も必須のジャンルだ。また、音楽などラジオ的な使い方も考えられる。
プッシュキャスティングについては、活字メディアのマルチメディア展開が考えられる。新聞系では10、雑誌系では20番組程度が必要になるだろう。企業のスポンサード番組、グルメ情報など店舗が発信するコンテンツ、視聴者から発信されるコンテンツ、アイデア、さらには甲子園の予選など、特定の地域の人に関心のあるコンテンツへの要求がインタラクティブに反映できる仕組みも入れることができるだろう。
ワンセグはマスコンテンツに近い部分、モバイルマルチメディア放送はパーソナルに近い、これまでのコンテンツの外側にあるサービスをイメージしている。マスからパーソナルまで生活シーンに応じた多角的なコンテンツを提供することが成功のポイントになる。
ISDB-Tsbは現在6MHzで7セグメントを使って放送している。ISDB-Tmmは、1つひとつのセグメントを制御する考え方の方式。セグメントごとにリアルタイムで変調方式を変更でき、効率的な伝送ができるという特徴がある。現在の固定、ワンセグでは使っていない16QAM、32QAMという変調方式を状況に応じて利用できる。
2008年には、ワンセグで独立放送ができる制度変更が検討されている。:通信連携サービスが拡大するなかで、ギャップフィラーの設置が必須になるだろう。08年にISDB-Tmmの規格が決まっていれば、ギャップフィラーを対応させることができ、2012年ごろにISDB-Tmmのサービスが始まったときにも、それ以前の受信機が使える環境にすることができる。
30MHz±5MHzでマルチメディア放送はラジオを含めて検討されることになっている。これはマルチメディア放送とラジオに十分な帯域が確保されることを予見させるものと信じている。
以上
